発達障害者支援法を活かす為に


発達障害者支援法を活かす為に


時々ですが、障害児の保護者さんからメールでご意見を頂いたり相談をされたりします。
その中からひとつ紹介しますね。
ふたりの発達障害児のお母さんからのメールです。
もちろんご本人には承諾を頂いています。

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先日 愛知県唯一一ヵ所ある療育施設へ 行って来ました。
自閉症 ダウン症 色々コースがあります。
私が参加した母子短期療育コースは、高機能自閉症コースなんだけど、うちの坊はADHDでもちと似た症状があるから入れてもらいました。
ここを 利用するには居宅受給者証が 認定されていないといけないのです。

療育をうけたいけど手帳がないと 受けられない現実。
言葉がしゃべれなければ 療育手帳はおりる。

なんだか 納得がいきません。
言葉が、話せてもコミニュケーションがはかれなければ、話せないと同じでは?
愛知県は幼児までしか 療育が 受けられません。
来年就学の坊には、残り時間はわずか…。
福祉課にごねて 見ず知らずの市議員に話もして 福祉課の面接をし、居宅受給者証がやっと下りたのです。
知的の遅れがない子が、支援費を使う事に懸念されるといわれ、ほかの高機能自閉症の親御さんは「お金がどうのって 言われるなら 自費払ってでも来たい。利用できるか、出来ないかが問題なんです。利用したいんです」と皆が 言われました。
法律が変わると、その療育施設は療育手帳がないと利用が出来なくなります。
支援法…何を支援してくれるんでしょう。
悲しくなります。

名古屋障害者センターでは、「地域の枠を、飛び越えての援助や後押しをすることは ありえない」と言われました。
支援をうけたい為に 引っ越しをする人が 何人もいるのです。
この現状を知ってほしいです。

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そこで、あらためて「発達障害者支援法」を読み直してみました。

この法律は、発達障害の早期発見と生活全般にわたる支援を国全体をあげて取り組み、福祉増進を目的としているはずだし、それは国及び地方公共団体の責務であり、発達障害児・者本人と、その保護者の意思をできるかぎり尊重し、必要な配慮をしなければならないと明記してあります。

国をあげての施策のはずなのに、”地域の枠を、飛び越えての援助や後押しをすることは ありえない”とはいったいどういうことなんでしょう。

また、いわゆる偉い方々は、親が声をあげなければ動けないっていうことをよく言われます。
もしかしたらそれが現実なのかもしれません。

でも、”できない、わからない、現状では無理”との理由をつけて、親からの訴えをしっかりと聞こうともしない場合もあるのではないですか?
発達障害児・者とその親の意思を尊重すると言うならば、”できるようにする方法”をもっと真剣に考えるべきではないでしょうか。

療育手帳についてですが、確か衆議院のHPの「発達障害者支援法案 議事録」で読んだことがあることを思い出したので、もう一度読んでみました。

そこには、”手帳を持たない方が個別のサービスを受けられないという現状があるので、発達障害を持つ方々に対するサービスのあり方、あるいは支援体制のあり方ということを検討していく”という答弁が書いてあります。

本当はそのページとリンクさせたいところですが、衆議院トップページとでないとリンクしてはいけないことになっているので、もし全文を読んでみたい方は、「衆議院 第161回国会 内閣委員会 第8号」で検索してみてください。
削除されていなければ、たぶんその議事録にたどりつくはずです。

全文を読むのはかなりきついとは思いますが・・・(;^_^AA


2年くらい前でしょうか。
児童相談所に、「なぜ軽度発達障害では手帳がおりないのか」を聞きに行ったことがありますが、やはりその時は「今はそういうふうに決まっていますから」みたいな答えが返ってきただけでした。
でも時代は動いています。
そろそろ変化が出てきてもいい時期だと思うのですがどうでしょう。

発達障害者支援法が国会で可決されて10ヶ月。
施行されて半年以上が過ぎました。
まだまだ取り組むべき問題が多いようです。
でもこれは、”みんなで”考えていくことなんですよね。
せっかく出来た法律です。
それぞれの視点と立場でこの法律を活かしていけたらいいですね。

                       記 2005年 10月

 


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